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本対談は、当院院長 竹島と、東京大学医学部附属病院 呼吸器内科 鹿毛 教授による対談です。
呼吸器専門医として研鑽を積んできた竹島院長が目指すのは、専門性と利便性を高次元で両立させた「地域に選ばれ続けるクリニック」です。
今回は、竹島院長の母校でもある東京大学医学部附属病院より、呼吸器内科の鹿毛教授をお招きし、地域クリニックの役割と、大学病院との理想的な連携のあり方について語り合っていただきました。

竹島医師
本日はお時間をいただきありがとうございます。
まず私の方から、9月に東京都大田区に開設するちどり内科・呼吸器内科クリニックの理念や雰囲気についてお話しさせていただき、その後に先生の大学病院(東京大学医学部附属病院)との強みや協力関係についてお伺いできればと思います。
私たちのミッションは、大田区の地域の皆さんの健やかな生活をサポートし、後押しすることです。そのために「患者さん中心のあたたかいケア」と「わかりやすい設備」をビジョンに掲げ、地域に選ばれ続けるクリニックを目指しています。
これまで呼吸器疾患を中心に研鑽を積んできた専門性を軸にしながら、画像診断へのAI導入やWeb問診・予約システムといった「医療DX」にも注力しています。専門的な医療を担保しつつ、待ち時間を減らす工夫を徹底することで、高度な専門性と通いやすい利便性を両立させたいと考えています。
また、クリニックだからこそできることとして、一人ひとりの声に真摯に耳を傾けることを重視しています。
大きな病院ではどうしても多くの業務が並行し、お一人ずつに時間を割くのが難しい場面もありましたが、当院ではプライバシーが確保された環境で、患者さんが安心してお話しいただける場を作りました。
具体的には、一般的な待合室をなくし、複数の診察室を個室として設けています。
患者さんに個室でお待ちいただき、そこに医師が訪問するスタイルです。これならば、他の患者さんと顔を合わせることもなくプライバシーを守れますし、感染対策にも繋がります。「個室」という選択肢を取ることで、安心感と通いやすさの両面を追求しました。
受診のハードルを下げ、地域の皆さんに気兼ねなく足を運んでいただける場所にしたいと思っています。
鹿毛医師
場所も駅からすぐだとか。
竹島医師
そうなんです。呼吸器疾患は継続的な治療が必要なことも多いため、通いやすさは非常に重要です。
場所は東急池上線の千鳥町駅から「10歩」ほどの距離にあります。
また、医療環境はまさに日進月歩で変化していますし、社会的なニーズも刻々と変わっています。
そうした変化に柔軟に対応し、固定観念にとらわれることなく、常に新しい医療の可能性を追求してチャレンジし続けたいと考えています。
鹿毛医師
新しい知識などはどのようにして取り入れているんですか?
竹島医師
そうですね。まさに鹿毛先生をはじめとする先生方とのカンファレンスや、これまでの繋がりが非常に重要だと考えています。
東京大学附属病院のような最先端の現場と繋がっていることで、常に知識をアップデートし、患者さんに提供する医療が常に「先端で正しいもの」であり続けられるよう努めています。
また、地域連携という点でも、当院のようなクリニックが中核病院や東大病院といった専門施設と緊密に連携することは不可欠です。万が一、高度な検査や治療が必要になった際にも、迷わずスムーズにご紹介できる体制を整えることで、患者さんに不利益がないようにしたいと考えています。
こうして先生と親密にお話しできる関係があることは、私個人としても非常に心強いですし、何より患者さんにとっての大きな「安心感」に繋がると確信しています。こうした多角的な取り組みを通じて、患者さんが心から信頼し、安心して通える環境を作ることが、地域の皆さんにとっての幸せに繋がるのではないかと思っています。
私のクリニックの理念や目指す形としては、概ねこのような形です。
ここからは、東大病院とどのように連携していくべきか、また先生方が地域のクリニックに求めている役割や存在価値について、ぜひお話を聞かせていただけますでしょうか。
鹿毛医師
ありがとうございます。
我々のような大学病院は、どうしても「高度医療の提供」に特化する形になりますので、やはりクリニックとは役割が異なると考えています。
クリニックに期待される役割は、大きく分けて2つあります。1つは「患者さんがまず最初に受診される場所」であること。そしてもう1つは「病状が安定した患者さんを定期的に継続して診ていただくこと」です。
国の方針としても、大学病院は高度医療を必要とし続ける患者さんに注力し、日常的な診療は地域のクリニックが担うという「役割分担」が推奨されています。
大学病院は高度な医療を提供できますが、どうしてもアクセスの面などで利便性が良いとは言えません。お仕事や家事をしながら通い続けるのであれば、やはり患者さんにとっては利便性が極めて重要です。
また、クリニックの先生の役割として非常に大きいのが「見落としてはいけない病気を見つけ出すこと」です。 例えば呼吸器の分野でいえば「咳」ですね。
多くは風邪で、咳止めで良くなるものですが、中には重大な疾患が隠れていることがあります。
それを「いつもの風邪だろう」と済ませず、しっかりとお話を聞いて異常に気づくことができる。そういった「高いアンテナ」を持った能力のある先生こそ、地域には必要だと思います。
そして、どれほど高い能力を持っていても、患者さんから大切な情報を聞き出せなければその力は発揮できません。
だからこそ、患者さんが「何かあったらすぐに相談できる」と感じられるコミュニケーション能力も不可欠です。
竹島先生のように、医学的な専門能力と、患者さんに寄り添う対話力の両方を兼ね備えていることは、地域医療において非常に価値があることだと期待しています。
竹島医師
やはり、全く面識のない先生にご紹介するよりも、こうして普段から「人となり」が分かり、実際にお会いしてお話ししたことがある先生の方が、大学病院の先生方としても安心してご紹介を受けたり、またお返ししたりしやすい、という側面はあるのでしょうか。
鹿毛医師
そうですね、そこはだいぶ違います。 特に竹島先生とは、これまで呼吸器の現場で共に切磋琢磨してきた仲ですから。
クリニックと大学病院という立場の違いはあっても、お互いの役割の中で「どのような情報が必要か」を深く理解した上でやり取りができます。
そのため、情報の不足やズレを感じることなく、スムーズに診療を引き継ぐことができます。
これは我々病院側にとっても非常にありがたいことですし、竹島先生がおっしゃる通り、患者さんにとっても「先生同士がしっかり繋がっている」という大きな安心感に繋がるはずです。
竹島医師
ありがとうございます。先生方と密に連携させていただけるのは、私にとっても非常に心強いです。
ここからは、「東京大学医学部附属病院 呼吸器内科」の診療の強みについても詳しくお聞きしたいです。高度医療の中でも、特にどのような点に特色があるのでしょうか。

鹿毛医師
一般的に、高度医療を提供している病院でも、規模によっては「喘息に強い」「肺がんに強い」といった特定の疾患に特色が分かれることがあります。
しかし、私たちの東大病院は大学病院ですので、「すべての病気を診ている」という点が最大の強みです。
多くの患者さんは、最初は「何が原因かわからない」という診断がつかない状態で来られます。
そうした際に、いらしていただいてから「うちでは診られません」ということがない、というのは非常に大きなポイントです。これは呼吸器内科だけでなく、すべての診療科が揃っている大学病院ならではの体制です。
また、患者さんは一つの病気だけでなく、複数の健康問題を抱えていることも少なくありません。どんな問題が併発していても、すべて院内で対応できる。何かあればまず院内で完結させ、病状が落ち着いたら再び地域(クリニック)にお戻しする。
間に別の施設を挟む必要がないのは、患者さんにとっても大きなメリットだと思います。
呼吸器の分野において、東大病院でしかできない治療というのは決して多くはありません。
他の高度医療機関でも可能なことは多いですが、やはり「苦手分野がない、抜け目のない総合力」こそが一番のメリットではないでしょうか。
例えば、呼吸器外科では肺移植も行っています。
実際に移植が必要になる方は非常に少ないですが、高度医療のステップの最終段階までをカバーしていることは、大きな安心材料になります。「東大病院に行けば、とりあえず問題は解決するだろう。他へ行く必要はない」という安心感は、クリニックを受診される患者さんにとっても、非常に心強いものではないかと思います。
竹島医師
そうですよね。大学病院は「最後の砦」として患者さんからの期待値が非常に高い場所です。
逆に、患者さんの期待が高い分、逆紹介(クリニックへのご紹介)を切り出しにくい、といったことを感じることもあるのでしょうか。
鹿毛医師
おっしゃる通り、確かにあります。
大学病院は、どうしても高度な医療を必要とする患者さんに注力する必要があります。そうしないと病院が飽和状態になり、本当に今すぐ専門的な治療が必要な方を診られなくなってしまうからです。
そのため、病状が落ち着いて高度医療のステージを終えたら地域にお返しするという方針を、呼吸器内科だけでなく病院全体で徹底しています。
ただ、やはり患者さんの中には、地域に戻る際に「大学病院を離れて大丈夫だろうか」と不安を感じる方もいらっしゃいます。
その際、「この先生のことは私もよく知っていますから、安心してください」とお伝えするだけで、患者さんはずいぶん納得して戻りやすくなります。
また、「もしまた何か困ったことがあれば、いつでもこちらに来てください。この先生なら必要な時にすぐ紹介してくれますから」と一言添えることも大切です。そうお伝えすることで、皆さん安心して地域の診療に移行されます。
竹島医師
そうですよね。患者さんにとって、全く知らない先生のところへ行くというのは大きな不安を伴うので、そこを「よく知っている先生」として繋いでいただくことで、受診のハードルが一段下がり、通いやすくなるのだと思います。
鹿毛医師
まさにその通りで、最初に竹島先生に診ていただいてからご紹介を受け、治療後にまた戻っていただく。この一連の流れを患者さん自身が把握されていると、よりスムーズに戻っていただけますね。
一方で、紹介状を持たずに初めから当院のような大病院に来られた方が、その後地域へ移るパターンもあります。
その場合でも、私たちが「竹島先生のことは私がよく知っていますよ」とお伝えするだけで、患者さんは安心されます。
竹島医師
私としても、先生からご紹介をいただければ、経過などの情報も非常に分かりやすく、その後の診療にスムーズに繋げられます。
逆に、当院で診ている患者さんの容態に変化があった際、すぐに先生に相談できるという安心感もあります。
こうした「顔の見える連携」こそが、患者さんにとって最もハッピーな形だと思います。
私が大学病院に勤務していた頃、遠方から救急車で運ばれてくる患者さんも多く、東大病院への信頼の厚さを肌で感じていました。
ただ、それほど信頼が厚い一方で、病状が落ち着いて地域に戻られた後、何かあった際にまた遠くの大学病院まで行かなければならないというのは、患者さんにとって大きな負担になる面もありますよね?
鹿毛医師
そうですね。東大病院に通院歴がある方だと、夜間や休日に急に具合が悪くなった際、「やはりいつもの東大病院へ」と救急車を呼ばれるケースは確かにあります。病院がかかりつけであれば、もちろん受け入れの有力な候補になります。
ただ、救急隊が現場で判断する際、ご自宅から東大病院まであまりに時間がかかる場合は、まずはお近くの救急外来がある病院で一刻も早く処置を受けるべき、と判断されることもあります。
命に関わる状況では、その時の最適な判断が優先されるのが現実です。
竹島医師
大学病院では、希少疾患や、複数の診療科にまたがるような複雑な症例を診る機会も多いのでしょうか。
鹿毛医師
そうですね。希少疾患は、診断がついて初めて「希少疾患」と呼ばれますが、実はそこに至るまでの診断プロセスこそが最も難しく、我々大学病院の力の見せどころでもあります。
診断が確定すると治療は決まっているけれど、確定しない状態で治療しないわけにもいかない。
可能性が高い病気を想定して、それに応じて治療していくことはよくあります。
竹島医師
治療薬の反応で診断が絞れることもありますよね。
そうした治療薬の選択や、そこに至るまでのディスカッションや検査レベルの高さが、大学病院の医療の質を支えているのではないでしょうか。
鹿毛医師
おっしゃる通りです。東大病院では、週に2回のカンファレンスを行っています。 そのうち1回は、入院患者さん全員について話し合う数時間のカンファレンスで、その後もさらに「外部から相談を受けている、判断が難しい症例」について、納得がいくまでディスカッションを続けます。これをもう一回、別の枠でも週に行っています。
正解がすぐには見えない中でどう動くべきか、全員で話し合って決めています。
たとえ診断がついていなくても、可能性が高ければ治療に踏み切ることもあります。ただし、薬には副作用が伴いますので、常にメリットとデメリットを天秤にかけて慎重に判断します。
検査についても同様で、リスクを伴う検査をあえて行うべきか、あるいは検査をせずに治療を先行させるべきか。
多くの選択肢の中から、患者さんにとって最善の道はどれかを話し合って決断しています。
竹島医師
他科との合同カンファレンスも盛んに行われているのでしょうか。
鹿毛医師
はい。呼吸器外科や放射線科とは定期的に開催しており、特に肺がんについては毎週行っています。
肺がんに限らず、感染症や気胸で手術が必要なケース、放射線科への検査依頼、出血を止めるための血管内治療が必要な場合など、幅広く情報を共有しています。
必要に応じて他の科とも連携しますが、学内にそれぞれの専門家が必ずいるので、「これはこうだけれど、うちでは対応できません」ということが東大病院ではほとんどなく、院内で完結できるのが良いところです。
また、他科から難症例の相談を受けることも多いですね。
例えば他科の入院中に肺に影が見つかり、診断や治療をどうするかといった相談を受け、カンファレンスで方針を決めていきます。
最先端の知識が求められるため大変な面もありますが、非常にやりがいを感じています。

竹島医師
医師が少ない過疎地域などでは、オンライン診療のメリットは非常に大きいですね。
国も、大学の専門医に遠方から相談できる仕組みづくりを推進しています。
ただ、やはり対面診療でしか得られない情報も多くあります。
特に呼吸器科においては「聴診」などが遠隔では難しい面もあり、利便性と精度の兼ね合いが重要だと感じています。
鹿毛医師
私は現在、ウェブでのセカンドオピニオンを実施しています。
これは、すでに主治医がいる患者さんに対して、その先生の意見を踏まえた上で私の考えをお答えする形です。
今のところ、私が最終的な責任者として遠隔診療のみで完結させる形は、難しいと考えています。
最近では医師同士をつなぐセキュアな連絡アプリの導入打診も受けています。
個人情報を適切に扱える設計で、医師間で情報を共有し、遠隔で専門的な相談に応じることができるものです。
呼吸器内科医がいない地域でも、この仕組みは非常に役に立つ可能性があります。
医療現場のDX化は、現場の内側で着実に進行していますが、やはり個人情報をいかに安全に扱うかが最大の課題となっています。
竹島医師
オンライン・セカンドオピニオンについてですが、例えば当院の患者さんで「鹿毛先生に相談したいけれど、体調や距離の面で東大病院まで伺うのが難しい」という方がいらした場合、申し込みは可能でしょうか。
鹿毛医師
はい、もちろんです。現在、呼吸器内科では「肺がん」と「間質性肺疾患」を対象にセカンドオピニオンを行っています。
オンラインでの対応も受け入れています。
竹島医師
大学として他施設と比較したお話は公にはしにくい部分もあるかと思います。
ただ、あえて「東大病院だからこそ」と言える強みはありますか? 例えば、肺移植などはいかがでしょうか。
鹿毛医師
呼吸器外科が行っている肺移植は年間50例近くにのぼり、これは日本最多です。
都内でも移植を行う施設は増えており、全体の症例数も年々増加傾向にあります。
一時期、ドナー肺の不足で伸び悩んだこともありましたが、現在はまた増えてきており、週に1件のペースで実施されています。
もちろん手術そのものは外科が中心となりますが、その前段階である「適応評価」は内科と外科が共同で担当します。
患者さんが移植の適応を満たしているか、大きな手術に耐えられる体力があるかなどを、精密な検査を通じて多角的に確認していきます。
大学病院の本当の強みは、どこか一部が突出していること以上に、弱みがなく全方位をカバーできる「総合力」にあります。
人材が豊富で、科を越えて相談し合う文化が根付いている。どのような病気にも対応できる――いわば「日本の最後の砦」であると自負しています。
臨床・研究・教育の三本柱を掲げ、医師数も多いため、常に誰かに相談し、最善の知恵を絞れる環境があることが私たちの大きな力です。
竹島医師
鹿毛先生が教授に就任されてから、病院の診療体制において何か大きな変化はありましたか?
鹿毛医師
大きな変化として、今年(2024年)の4月から新しく「専門外来」を新設しました。
現在は「肺がんの初診」と「喘息・COPDの初診」の2枠を設けています。
通常の一般初診枠は予約が比較的すぐに埋まってしまうことが多いのですが、こちらの専門外来にはまだ空きがある状況です。地域で診られている患者さんで、より専門的な診断や治療方針の検討が必要な方がいらっしゃれば、ぜひ積極的にご活用いただければと思います。
当院の呼吸器内科について
呼吸器科の専門医
兼 指導医在中
完全予約制
待合室から個室にて対応
土曜日も
17時まで診療
完全個室で、受付後すぐに個室へご案内します。待合から診察まで個室のため、待合で咳を気にしながら順番を待つ必要がありません。
診察・治療まですべてそのお部屋で完結。院内すべてがバリアフリー対応。呼吸器の病気の予防や禁煙のサポートにも力を入れています。
呼吸器の専門医が常駐しており、咳や喘息、肺炎、COPDなど、呼吸に関する症状を専門的な視点から正確に診断いたします。