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本対談は、当院院長 竹島と、国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科部長の後藤医師による対談です。
地域医療と高度専門医療の連携、肺がんの早期発見の重要性、検診の限界と可能性、そして患者さんとの信頼関係について語っていただきました。
地域のかかりつけ医として何ができるのか、専門医は何を期待しているのかを率直にお話しいただいています。
竹島医師
当院としては「専門性と利便性の両立」を大事にしています。
地域の皆さんから慕われるクリニックを作りたいと思っていて、呼吸器専門医として呼吸器疾患を専門的に、そしてわかりやすく説明するアプローチを目指しています。
利便性の部分では、予約のしやすさですね。
Web予約を24時間できるようにしていますし、待ち時間を減らすことにも力を入れています。
問診はAI問診で事前入力してもらえるようにしていますし、待ち時間が負担にならないよう、咳の患者さんが他の人を気にしなくてもいいように、待合室をすべて個室にし、個室で診療するスタイルです。
また、予約制を導入して待ち時間を減らし、会計もアプリ決済の後払いにして、会計待ちをなくしました。時間を減らす工夫をいろいろ取り入れています。
デジタル化もできるだけ進めて、患者さんがアクセスしやすく、地域の皆さんから信頼され、選ばれ続ける病院を目指しています。
後藤医師
大きな病院ではそういうことがやりずらいです。
規模が大きいから金額が高くなってしまったり、汎用性の高いものは、病院のシステムに入れなければいけないので、そのままのシステムを使えないことが多い。
デジタル化もとても遅れていると感じています。
竹島医師
専門性の部分では、後藤先生をはじめ、がんのトップランナーの先生方ともつながっています。
そのことを伝えることで、患者さんに安心してもらえると思い、今回対談をお願いさせていただきました。
竹島医師
早期の肺がんであれば手術も可能ですが、画像の見た目でステージが決まるわけではなく、実際に手術してみると広がっていた、ということもあります。
どうやってより早期に診断できるか、またクリニックにどんなことを期待しますか。
後藤医師
がんは細胞1個から始まり、2個、4個と増えていきます。早く見つければ見つけるほどいいのですが、1〜2個の段階ではさすがにわかりませんし、がんだとわかるまでが難しい。
怪しいと思ったら、その段階で紹介していただけると助かります。
本当にがんの患者さんだけを紹介いただけると、病院としても患者さんとしても負担が少なくて済みます。
ただ、残念ながら検診をしても、なかなか診断が難しいケースも多いです。
毎年検診を受けていても、疑わしい情報があればその時点で検査する、というのが現実的です。
将来的にはCT画像の精度がさらに高まっていきます。
血液検査で全身のがんを見つけられるようなものも研究されていますが、現状では「多くを拾いすぎる検査」と「当たれば確実な検査」の2つの方向性があります。患者さんのニーズ次第で、普及していくかどうかは変わると思います。
現時点で確立しているのは、胸部レントゲンやCT、胃カメラなど負担が少なく見つけた時のメリットが大きい検査です。積極的に受けて行った方がいいと思っています。
竹島医師
低線量CTは増えていきそうですか?
後藤医師
肺がんを減らすのはいいことですが、みんなの命の寿命が伸びるわけではない。
どんどん普及して行ってほしいが、大切なのは必要な患者さんだけをスクリーニングすることだと思います。
竹島医師
当院でも特に胸部レントゲンは、AI読影を導入して私がダブルチェックしています。
AIは今後さらに精度が高まるでしょうか。
後藤医師
過剰に引っ掛けるのか、怪しいものだけを取るのかっていうのはあるとは思うが、そこがどうなるかわからないし、レントゲンも所詮立体構造を1枚の画像にしているだけなので、限界があると思います。
あくまで一つのツールとして使うのがいい。
竹島医師
腫瘍マーカーも保険で認められているものがありますが、採血だけで正確に診断できる段階ではまだありません。
むしろ「不安を増やす」こともあるので、現状では慎重に使う必要があります。
後藤医師
あくまでオプションで、みんなに勧めるものではないかな。
どこのがんかわからない。
血液検査は、CT以上のものを診察できないので、患者さんがモヤモヤした気持ちを持ったままになる。
ちゃんと説明できる人が必要だと思います。
機能分担として、日本では画像センターみたいなものがあるので、精度は上がるんじゃないか。
竹島医師
CTも近隣の医療機関と連携を取れる形になっているので、疑わしい症状がある場合は、大きな病院の先生方に相談する方がいいかと思います。
後藤医師
免疫チェックポイント阻害薬は、この10年で大きな進歩がありました。
効果が劇的に出る患者さんもいますし、副作用で悩む方もいます。
効果が強い人は、薬を一度やめても再発しないこともある。そういう意味で「治る人が出てきた」というのは大きな変化です。
ただ、副作用のマネジメントが重要で、地域の先生との連携が必要です。
風邪なのか副作用なのかを見極めることも大事で、信頼して対応できる先生が地域にいてくださると助かりますし、病院のリソースも無駄に使わずにできる。
最近では医薬品開発がとても進んでいて、いろんなものが出てきています。
竹島医師
患者様へのがんの告知の場面では、話の内容がちゃんと伝わっていないケースが多い。
伝える時の工夫などはありますか?
後藤医師
告知の場面では、患者さんが動揺して内容を理解できていないことも多いです。
医学的に正しい説明をするのと、患者さんにわかりやすく伝えるのとは別のスキルなので、その人がどこまで理解したいのかを見極め、必要な範囲で説明することが大事だと思います。
患者さんが何を求めていて、そうすればつぎのステップに進めるのかを見極めることが必要です。
一部の患者さんは自由診療に流れてしまうこともあります。
不安やストレスからそうなるので、こちらの説明が不十分だったと反省することもあります。
だからこそ、かかりつけ医と病院が信頼関係を築き、患者さんが安心して相談できる体制が必要だと考えています。
自由診療に流れてしまう患者さんに対しては、不安やストレスからそうなるんですが、医療者側として「説明が十分できていなかったのでは」と反省することもあります。
もし0にできるなら国の制度で何とかしてほしいですが、日本は医師の裁量権が大きいので、現状では自由診療も許されてしまっています。
アメリカでは訴訟リスクもあるので、逆に自由診療ができないケースもあります。
ただ、自由診療にも幅があります。患者さんの満足度を上げるには、やはり病気に対する不安を軽くすることが大切です。
自分たちの治療が最善であると説明してあげるしかない。患者さんが「話を聞いてもらえた」と感じられることも大切です。時間をかけて説明しても医療者に直接的な利益はありませんが、それでも信頼関係を築くうえでは必要だと思います。
患者さんと医療者の信頼関係がは非常に大切です。何か気になることや、やりたいことがあれば、まずは相談してもらいたいですね。そうすれば我々がコメントして、一緒に考えていくことができます。
竹島医師
紹介状についてはいかがですか?
後藤医師
紹介状も、ただ「書いてください」と言われて機械的に書くのではなく、場合によっては「この治療はおすすめしません」と伝えることもあります。
なぜ保険で使える薬と自由診療の薬で差があるのか、そういうことも含めて説明します。
すべての患者さんに詳しく話すのは難しいですが、質問があればできる限り答えるようにしています。
患者さんによっては詳しい説明を質問しづらい方もいるので、その場合はこちらで受け止め、後でかかりつけの先生に共有するようにします。
先生方からの説明だけでも十分安心につながることもあります。
病院とかかりつけ医の分担も大切です。
患者さんにとって信頼できるかかりつけ医がいれば、不安を和らげることができます。我々が診られるのは数週間に1回程度ですが、その間にかかりつけ医がフォローしてくださると安心です。
竹島医師
患者さんの中には「病気のことは先生に全部任せます」という方もいれば、「自分で情報を集めて治療を選びたい」という方もいます。
だからこそ、かかりつけ医との信頼関係が重要です。
コミュニケーションをうまくとりながら、患者さんをより良い医療につなげていきたいと思っています。